米国帰りのWebデザイナーが不安になる日本と米国の違い
2013年04月13日
1か月ほど前に話題を呼んだこちらのブログ記事。
世界のWebデザイナーのお給料はいかほど? | Webクリエイターボックス
うわっ、日本のWebデザイナーの年収、低すぎ…? | Stocker.jp
とりあえず気にしないでいたのですが、同僚の米国帰りのWebデザイナーの一言を聞いて結構ショックだったので、自分の考えをまとめてみました。
米国のWebデザイナーの待遇の実際
彼女は米国の大学を出た後、ニューヨークの制作会社で数年働いた後に帰国。国内の有名制作会社で働いた後に私が勤める会社に入社しました。ニューヨークの会社でも前職でも大手クライアントと仕事をしてきて、若いのに非常にクオリティの高いデザインを生み出す力を持っています。
彼女いわく、やはり冒頭のブログ記事の内容は感覚的には正しいようです。
米国のデザイナーは職業として確立していて、キチンとした報酬が支払われ、労働環境も悪くないそうです。彼女自身ニューヨークにいた時は、自分のキャリアとしてWebデザイナーを続けていくことに疑問を持たなかったそうです。
そんな彼女が、日本でWebデザイナーを続けていくことに疑問と不安を感じ、「OLとして働いた方がいいかも」と、本気とも冗談ともとれないことを言っているのです。
日本と米国との違いの理由
なぜ、日本と米国とではこのような差があるのでしょうか。ここから先は私の勝手な想像ですが、二つの理由があるように感じます。
理由1 Webデザインに対する考え方の違い
まず一つめの理由は、Webデザインに対する考え方に違いがあるということ。
米国では、Webデザインは専門家が行うものと認識され、マーケティング・コミュニケーションの重要な要素と捉えられているように感じます。
一方日本では、Webデザインに対する認識が低く、得体のしれないもの、誰でもできそうなものと捉えられているように感じます。
専門性が高いという認識と、誰でもできるという認識とでは、待遇に大きな差が出るのは当然でしょう。
また、それは仕事におけるWebデザイナーへの扱いの差にも表れています。米国ではWebデザイナーの意見は尊重されますが、日本では100本ノックや徹夜での作業などということが行われてしまうのです。
理由2 Webデザインのスキルの違い
二つめの理由は、自分のことを棚に上げていうと、全体的にレベルが低いことです。
雑誌やギャラリーサイトなどを見ていると、日本にも素晴らしいWebデザイナーがたくさんいるように感じます。ところが周りを見てみると、レベルの高いデザイナーに出会えることはなかなかありません。
外注パートナーにしても採用にしても、仕事をお願いしたいと思えるデザイナーになかなかめぐり合えません。私が勤める会社でも、限られた外注パートナーを社内で取り合っていたりします。
前述の同僚によると、米国ではWebデザイナーは安定した職業である反面、Webデザイナーになるハードルはかなり高いそうです。(なお、上記のブログ記事で考察されていたようなマルチスキルかどうかというのは、必ずしも当てはまらないようです)
もちろん日本でも有名な制作会社に入るのであればハードルは高いのですが、Webデザイナーに「なる」だけであれば難しくありません。優秀な人もたくさんいますが、そうでない人も多く、平均すると低いレベルになってしまっている。あくまで感覚ですが、そんな気がしています。
これは、前述のWebデザインに対する認識が低いことも要因の一つとなっていて、鶏と卵の関係になってしまっているように感じます。
まとめ
このことに対する明確な解決策は今のところ思いつきませんが、自分としてできることは、デザインの質を高めていくこと、そしてそれを発信し続けることではないか思っています。
日本がダメなら米国でという考え方もありますが、やはり日本人としては、日本全体のWebデザインがレベルアップし、クライアントの認識も変えていけるとハッピーだなぁと思います。
彼女にも日本でデザイナーを続けてほしいと思う次第です。