Webデザイナーを続けていくために身に付けておくべき12のスキル

2012122201

30代ではWebデザイナーをめざすには遅すぎないか、という質問をよく聞きます。

その答えは、Webデザイナーを一生(60歳くらいまで)続けられる仕事としてとらえるか、そうでないかによって変わってきます

一生続ける仕事ではないととらえるのであれば、30歳を過ぎてからはじめるには遅すぎるかもしれません。しかし私は、相応のスキルを身につけ、立ち位置を確立できれば、Webデザイナーは一生続けられる仕事だと思っています。

ここでは、Webデザイナーに「なる」ためのスキルではなく、Webデザイナーを「続ける」ためのスキルについて、私が思うところを書きたいと思います。
(なお、プロデューサーやディレクターに職種転換したり、経営層になるといった方向性は除外して考えています。)

Webデザイナーに「なる」ためのスキルと「続ける」ためのスキルの違い

Webデザイナーに「なる」ために身に付けておくべきスキルとしては、デザインの知識、各種ツールの使い方、コーディングのスキルなどがあげられます。しかし、それだけではWebデザイナーを「続ける」には不十分です。

現在のWeb制作の現場では、特に規模が大きいほど分業が進んでいます。Webデザイナーは、すでに決まった設計をデザインに落として行くという役割りになりがちで、素晴らしいデザインを作り出すデザイナーでもオペレーター的な立ち位置になってしまいます。

なぜなら、効率的に制作を行うためには、工場的にWebサイトという製品を作り出す作業者がどうしても必要になるからです。

また、Web制作は労働集約的な作業なので、会社が効率を上げようとすると、「作業者」は長時間・低賃金の労働となりがちです。

素晴らしいデザインを作ることはベースの能力としてまず必要ですが、神がかり的なデザインを作るなどでない限り、代わりのデザイナーがいるととらえられてしまいます。

このことが「Webデザイナーを続けていても将来性がない」と思う人が多いことにもつながっています。

Webデザイナーを「続ける」ためのスキルとは?

ではどうすれば、Webデザイナーを「続ける」ことができるのでしょうか。

私は、会社やクライアントからかけがえのない存在と思われることが必要だと考えています。(一般的にビジネスマンはそうですが)

そのために必要な知識を挙げると、以下のようになります。

  1. デザインの知識
    デザインセオリー、色彩、タイポグラフィ、コンセプト立案など
  2. 各種ツールの使い方
    Photoshop、Illustrator、Dreamweaver、Flash、Fireworksなど
  3. イラストレーション
  4. トレンドの把握
    レスポンシブWebデザイン/パララックススクロールなどの表現、ソーシャルメディアの動向、新しいWebサービスなど
  5. コーティング、プログラミング
    HTML、JavaScript、ActionScript、PHP、jQuery、WordPressなど
  6. インフォメーションアーキテクチャ、ユーザビリティ、アクセシビリティ
  7. Webマーケティング
    マーケティングの基礎知識、SEO、SEM、ログ解析など
  8. コピーライティング
  9. ビジネススキル
    ドキュメンテーションスキル、コミュニケーションスキル、プレゼンテーションスキル
  10. マネージメント力
    チームをまとめ、後進を育てていく力
  11. 提案力
    クライアントの利益になる提案をする力
  12. 実現力
    周りを巻き込み、提案を実現する力

「もはやWebデザイナーじゃない!」と思う方もいるかもしれません。もちろん、項目によってはそのための専門家がいるような内容なので、一人のデザイナーがこれらの知識・スキルをすべて完璧に身につけることは難しいと思います。しかし程度はともかく、すべて身につけておきたいものばかりです。

重要なのは提案力と実現力

「会社やクライアントからかけがえのない存在と思われる」という視点において、特に最後の11~12は重要と考えています。つまり、クライアントの利益になる提案をおこない、周りを巻き込みながら実現する能力ということになります。

Webデザイナーとしてクライアントの利益になる提案を行うには、マーケティング面や技術面での知識を持った上で、デザイナーとしてのスキルやクリエイティビティを発揮する必要があります。

このプロセスに必要なスキルは、UXD(ユーザー・エクスペリエンス・デザイン)を行うためのスキルと言い代えることができるかもしれません。より良いユーザー・エクスペリエンスを提供することが、クライアントの利益につながるからです。

もちろんすべてを一人でこなす必要はありませんが、「Webデザイナー」の仕事の範囲を狭くとらえてしまうと、「作業者」の枠から抜け出すことはできません。

一般的な「Webデザイナー」の概念を越えた、ゼネラリスト的な側面はどうしても必要になります。ゼネラリスト的なスキルと、スペシャリストとしてのスキルをかけ合わせることで、クライアントの利益になるような提案を行い、周りを巻き込みながら実現する。そうすることでクライアントや会社からかけがえのない存在とみなされる。

それがWebデザイナーとしてずっと生きていくための道ではないかと思っています。

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