SONYのサイトはレスポンシブWebデザインでないのか?アダプティブ・デザインについて今思うこと

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私が運営しているレスポンシブWebデザインのギャラリーサイト「Responsive Web Design JP」ですが、Andy Clarke氏のセミナーで「中にアダプティブデザインのサイトも混ざっている」と指摘されてしまいました(「今のレスポンシブWebデザインは誤解されている」英の著名デザイナーAndy Clarke氏が話す3つの修正点

例えばSONYのサイトのように、「特定のスクリーンサイズ(ブレーク・ポイント)ではWebサイトが正しく表示され、テキストを読んだりボタンを押すことが可能だが、それ以外ではテキストが見切れたりボタンが押すことが難しい」ということだそうです。

まさか著名人のセミナーに自分のサイトが活用されるとは思っていなかったので、実は結構嬉しかったりして会社の同僚に自慢したりもしたのですが、この部分については自分の考えを明らかにしておきたいと思います。

「アダプティブ・デザイン」とは

「アダプティブ・デザイン」という言葉の定義は実はかなり曖昧で、人によって解釈が大幅に異なります。

大まかに分けると、2つの解釈があるようです。

  • ある特定の画面サイズ(たとえば、320px、768px、1280px)のみに対応するようにデザインする制作手法(それ以外の画面サイズには対応しない)
  • ユーザのコンテキストに合わせて表示する内容を切り替えるデザイン手法(同じサイトでも家から閲覧した時と店で閲覧した時とでコンテンツを切り替えるなど)

その辺の詳細はRiverさんの記事「レスポンシブ・デザインとアダプティブ・デザインの定義を整理してみた」にうまくまとめられているので参照していただくとして、実はSONYのようなサイトをレスポンシブWebデザインとして紹介するかどうかについては、当初から悩んだところでした。

結論としては紹介することにしたのですが、それには二つの理由があります。

SONYのサイトをレスポンシブWebデザインとして紹介した理由

一つ目は、そもそも当初は国内のレスポンシブWebデザインのサイトが少なかったため、こうしたサイトを除外してしまうとギャラリーサイトとして成り立たなくなってしまうという止むを得ない理由です。

二つ目は、言葉の正確な定義に固執して新しい概念の可能性を妨げたくなかったという理由です。

もちろん定義を曖昧にしすぎると混乱をもたらします。実際に「アダプティブ・デザイン」という言葉の現状がそれを表しています。

一方で、Webの新たな概念や技術について、厳格な適用を求めすぎると、その普及や発展を妨げることにもなるとも思うのです。

これはレスポンシブWebデザインに限らず昔から思っていたことですが、特にレスポンシブWebデザインはいまだに有効性や実装技術について様々な議論がなされている状況です。

そのような状況ですから、厳密にはレスポンシブWebデザインではないにしても、さまざまなサイトを紹介することでむしろマルチデバイス対応の可能性を広げられればと考えたのです。

上述のSONYのサイトは特定の画面サイズで見切れてしまいますが、例えばPCブラウザで見た場合には見切れてしまっていても、タブレットでは縮小表示させるようにしておけば、問題なく閲覧できるすることができます。

文字の大きさやクリックのしやすさを工夫する必要はありますが、これはこれで広義のレスポンシブWebデザインととらえてもよいのではないでしょうか。

要はいかにユーザー体験を損なわない程度に効率的に増え続けるマルチデバイスに対応するかがキモなわけで、定義に縛られてしまったばっかりに身動きできなくなっては本末転倒です。

少なくとも「レスポンシブWebデザイン」や「アダプティブ・デザイン」の定義がある程度統一的な認識として広まるまでは、このような方針でサイトを運営したいと考えています。

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