スクールか独学かを決めるときにありがちな5つの誤解

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Webデザイナーをめざす人が最初に悩むのが、スクールに通うべきか独学にすべきかという問題です。
それぞれにメリット/デメリットがありますが、それについては他に良ブログがたくさんあるのでググっていただくとして、ここではちょっと誤解されるかなーと思う部分について書きたいと思います

誤解1 スクールで学べばWebデザイナーになれる知識が身につく

Webデザイナーをめざす人が心に留めておくべき10カ条」にも書きましたが、スクールに通えば就職に十分な知識とスキルが身につくわけではありません。むしろ、必要最低限の知識・スキルが得られる程度と思った方が良いでしょう。

Web業界は、常に新しい技術やサービスが現れます。自分から積極的にキャッチアップしていかないと、あっという間に取り残されてしまいます。私の知識も、スクールで得たものより、在学中あるいは転職後に独学で得たものの方がはるかに多いですし、今でも日々勉強です。

スクールに通う場合でも、授業を受け身で聞くのではなく、自ら積極的に学んでいくことが必要です。

誤解2 スクールに通えばモチベーションが維持できる

モチベーションは、周りの環境ではなく、本人のやる気次第です。

スクールは、高額な授業料を払い、決まった時間に拘束され、課題も出て、周りの人も頑張っているので、モチベーションが保てると思うかもしれません。しかし、これらの条件は高校や大学にも当てはまります。自分の学生時代を考えてみれば分かるのですが、授業料や周りがどうであろうと、モチベーションが低い人は低いですよね。

実際、私が通っていたスクールもそうでした。モチベーションが高い人は積極的に学ぶのですが、モチベーションが低い人は、課題をやってこなくなり、やがて出席しなくなってしまいました。最後に残ったのは、半分くらいだったのです。

むしろ高校や大学と違い、講義への出席になんの強制力もないので、本人のヤル気次第なんです。高い授業料を払っているのに、これには私も驚きました。

結局、スクールだろうと独学だろうと、モチベーションの維持には関係ありません

誤解3 スクールに通えば、就職活動で使える作品を作れる

スクールでは、課題や卒業制作で作品(Webサイト)を作ります。多くの人が、この作品を使って就職活動をします。

しかし、採用する側の立場(私)からみると、ほとんどの場合これだけでは内定を勝ち取るのは難しいのが現実です。

学校の宿題感覚で作った架空の会社のサイトや、ポートフォリオサイトだけではまず通用しません。実務に近いサイトを、持てるスキルや技術をフルに使って、できるだけたくさん作らないと、採用担当者を納得させることは難しいでしょう。スクールの課題も、単に宿題をこなすのではなく、こうした意識をもって取り組むことが必要です。

また、課題だけではなく、知り合いのお店のサイトを作らせてもらったり、講師と仲良くなって実務の仕事をもらうなど、積極的に実務に近いサイトを作るように心がけましょう。

誤解4 独学ならお金がかからない。

もちろん、スクールに通うより、安く済みます。しかし、それでもいろいろとお金がかかります。

まず、そもそもPCが必要です。
ハイスペックのものはいりませんが、メモリはたくさん欲しいところです。また、モニターは高解像度のものを用意しましょう。
すでにそうしたPCを持っている人は別ですが、ここで10数万の出費が必要です。

次に、アプリケーションをそろえる必要があります。
Photoshop、Illustrator、Dreamweaverはまず必須です。少し前まではFlashも必須でしたが、今はなくてもいいかもしれません。人によってはFireworksも必要かもしれません。
スクールによっては、これらのアプリケーションが学割で買える場合もありますが、独学の場合、通常の値段で買うしかありません。これだけで、10数万~20万の出費を見ておいた方がいいでしょう。

また、勉強するには本を買う必要があります。いくらWebにいろいろな情報が出ているといっても、体系的に学ぶには本を読むのが一番です。

学ぶことはたくさんあります。各種アプリの使い方、デザインのセオリー、色彩、タイポグラフィ、HTMLあたりはまず基本です。さらに、JavaScript、jQuery、WordPress、PHP、ActionScriptなどの実装系(英語系?)の知識、ユーザビリティ、アクセシビリティ、インフォメーションアーキテクチャ、ディレクション、マーケティングなどの上流系(横文字系?)の知識など、挙げればキリがありません。

これらを学ぶための本は、1冊数千円することもザラです。一度に買う必要はないものの、トータルでは数万~10数万円の出費が必要です。
スクールの学費にはこれらの費用が教科書代として含まれている場合もあります。

また、スクールに通わなくても、Web業界の人との交流を持つためには、イベントやセミナーには参加しておきたいところです。こうしたイベントの参加費は、数千~数万円かかります。
一方スクールが開催するイベントなら、スクールの受講生は特典として無料もしくは割引料金で参加できるものもあります。

さらに、会社勤めが長い方は、スクールによっては教育訓練給付金の支給対象となり、最大10万円が支給されます

こうして見てみると、独学でもそれなりのお金はかかりますし、スクールとの差はそれほど大きくはありません。

誤解5 独学ではWeb業界に人脈が作れない。

スクールに通う最大の魅力は、クラスやイベントを通じて、Web業界に人脈が作れることです。

では、独学では人脈が作れないかというと、必ずしもそうではありません。スクールに通わなくても、Web関係のセミナーやイベントは山ほどありますし、SNSのグループに参加するという方法もあります。

そういった場を積極的に活用していけば、独学でも十分人脈を作ることができます

結局、どっちがいいの?

人によって向き不向きがあります、と言ってしまえばそれまでですが、私は断然スクールに通う派です。その魅力はやはり人脈です。

正直、知識やスキルを得るという面ではどっちでもいいと思っています。しかし、スクールに通わなくても人脈はできるとは書いたものの、作りやすさはスクールの方が断然上です。

イベントやSNSで人脈は作れますが、かなりの積極的が必要です。スクールなら多少人見知りでも、ヤル気があればそこそこの人脈ができます。そもそも積極的な人は、スクールに通いながらイベントやSNSを活用します。

実際私も、クラスメートから紹介された講師から仕事をもらったり、今の会社に引き抜いてもらいました。それは高い授業料にも変えられない価値だと思っています。

なんだかスクールの宣伝みたいになってしまいましたが、決してそんなつもりはありません。アフィリエイトバナーくらいは貼るかもしれませんが。

いずれにせよ、グダグダ考えていても仕方ありません。まずは説明だけでも聞きに行ってみてはいかがでしょうか。

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